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高橋美江『お散歩写真概論』

高橋美江さんは絵地図師・散歩屋を名乗り、「真面目に不良」をモットーとする。いまや「まち歩き講座」でも大人気。

その高橋さんが講座で見せる写真がおもしろいとウケて、それなら高橋流「まち歩き写真」撮影の極意を伝授しようと著したのが今回の『お散歩写真概論』(芸術新聞社)。

高橋さんの絵地図は見ているだけで情報量が多く楽しいのだが、実際に歩いてみると、イチゲンさんが見逃してしまいそうな情報が入っている。以前、高橋さんは、「小さな路地を省略しない。地元の人にとってはなんていうこともないがよそ者にはたまらないものに目をつける」ということを絵地図つくりの極意に挙げていた。

そうした視点を写真撮影においてももったらどうか。まち歩きの楽しさが倍増するぞというのが、この本の高橋さんのメッセージだが、ぼーっと歩いているだけではなかなかその視点は身につかない。そこで極意登場だ。この本には「お散歩写真五ヶ条」をはじめとしてフムフムなるほどという撮影の切り口がたくさん挙げられている。もちろん、それぞれに高橋さん撮影の具体例が載っているので、見ているだけでも楽しめてしまう。読み終えた=見終えたころにはカメラをもって散歩に出かけたくなっている。

アタマに入れておいていいなあと思ったのはこうした写真は大きく二つに分類されるということ。ひとつは「アート系」であって、視覚的なおもしろさ。そこには被写体がなんの変哲もないものであっても、撮影の仕方で見え方が変わり、そのことが撮影者の美意識を逆形成さえするということ。実際、高橋さんの作品を見ていると日常は美にあふれていることを知る。

これがきわめて右脳活性型とすれば、次の「ヨミトク系」は左脳鍛錬型。知的好奇心で事物事象を見つめてみたらこんな発見がという、平たく言えば「ウンチク写真」か。 そうそうそんなものには出会わないと思っている人に「テーマ・コレクション」をまず勧めているのがにくい。たとえば下町の鉢植え。みんななんだか家の周りに置いているなあだけで通り過ぎていませんか。しかし、これをテーマに撮って見る。鉢植えの植物に目を奪われていた自分に気づく。写真を並べてみると、ありゃこの鉢はポリバケツ、こっちは火鉢だね、こりゃあ昔の防火用水だ、ややこっちは洗濯機! てな具合。高橋さんは「funny」から「interesting」へと言っている。

高橋さんが(失礼ながら)ホンモノと思うのは、ここで「人」を取り上げていることだ。まちの人こそまちを代表している。まちの人をコレクションしようということだ。その表情にこめられた歴史をヨミトク、感じ取るというのはもはやオモシロ写真を超えている。けれど、ここでも肩肘張らないことが肝心。まちを愛し、まちに生きる人の日常の表情にこそまちの個性が刻まれている。

いまや携帯でジーのスナップ撮り万人時代に、まちを再発見するツールとしてカメラの活用をお勧めしている本書は、高橋さんの絵地図にも写真にも、まちへの、そして人々の日常への愛がその作品制作の核にはあるということを、笑いのうちに知らせてくれる本でもあった。 


タグ:散歩、写真
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フランク・ブラングィン展

今日で終わる「フランク・ブラングィン展」に28日に出かけた。3ヶ月も開催というのに、ギリギリの駆け込みはいつもながらだが、まずこの画家を知らなかったことがついつい足を遠のかせていた。だが、見てよかった。

詳しくは以下の公式解説をご覧ください。http://www.fb2010.jp/main/

モリスの工房に学び、装飾、建築、家具デザイン、画家、版画、グラフィック、エディトリアルデザインと多方面に活躍。松方幸次郎の西洋美術を日本に紹介する構想に共感し、その眼となって西洋美術の体系的コレクションのアドヴァイスをした人物。

驚いたのはそのコレクションを展示するための「共楽美術館」の設計。実現しなかったこのプランは麻布台に建てられる予定だった。中庭を持つ広大な回廊建築。高い天井。復元されたCGを見て、展示室に入ると、そこは設計が再現された仕様となっている。幻の美術館は松方とブラングィンの夢を伝える。

川崎造船所のオーナーと近代装飾画家は共に造船所を愛した。漱石の「それから」にもその労働者を描いた絵が登場している。

松方コレクションを何度も見ているのに、ブラングィンのことを知らずにいたのは私だけだろうか。今回その全体像を見ることができたのはとてもよかった。私のお気に入りを一枚あげれば「白鳥」。この画家の色彩が宝石箱のように輝いている。


カレン・シャフナザーロフ監督作品映画祭

今年のロシア文化フェスティバルの映画部門は、
「カレン・シャフナザーロフ監督作品映画祭」で、
6月17日~19日に浜離宮朝日ホールで上映。
「六号室」「ジャズメン」「失われた帝国」「クリエール」「蒼ざめた馬」
http://www.russian-festival.net/img/pdf/11.pdf

吉田直展――誰も知らぬ間――

横浜・岩崎ミュージアムで6月6日まで開催中。
http://www31.ocn.ne.jp/~greensmile/Jpindex.html
吉田直(よしだなおし)の作品は全像日本の伝統技法「寄木造り」にて制作した彫刻に彩色する。

現代の男女像は洋服の襞も克明に刻まれ、迫力がある。
演劇の一場面を切り取られたかのように立っている「かれら」の前で
見るものは芝居の続きが気になる気分を味わうかもしれない。


猪熊弦一郎展 いのくまさん

詩人の谷川俊太郎による文で始まる絵本『いのくまさん』から
生まれた画家猪熊弦一郎(1902-1993)の仕事を紹介する展覧会。
2007年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館において開催された展覧会の東京展。

7月4日まで開催中。http://www.operacity.jp/ag/exh117/


「生活の中に絵画を」と上野駅のコンコースの大壁画や、三越デパートの包装紙のデザインなど幅広く活躍した画家の創作の喜びに満ち溢れた日々を感じることができる実に楽しい展覧会。


根津美術館「胸中の山水・魂の書 山水画の名品と禅林の墨蹟」

隈研吾の設計による新築根津美術館のオープニングシリーズには
「胸中の山水・魂の書 山水画の名品と禅林の墨蹟」から行って見た。
山水図の名品をたっぷり味わえた。

http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/past2010_n02.html


竹原義二展「素の建築」

ギャラリー間で開催された竹原義二展「素の建築」。http://www.toto.co.jp/gallerma/ex100414/index.htm

◆すべては無に始まり有に還る。
建築は何も無い場所から立ち上がる。場の脈略を読み解き、場の力として再現する。時代と共に希薄になる場の力・平面・空間・寸法・素材・構造・技術・家族・都市・そして人、これらを再考し、練り上げ、構築する。
思いを一本の線に託し、図面に刻み込み、職人たちの手元へと届ける。幾度も描き直され、いい塩梅に黒ずみ、消し跡までが彷彿とする図面には、私たちの迷いが正直に記される。職人たちは敏感にそれを感じ取り、そして手の込んだところから対話が始まる。逆に図面に描かれないところには、逃げが仕掛けられている。そこにはひとりひとりの職人の技が引き出され、そして無言のうちに手の痕跡だけを残し、空間の中へ潜んでいく。描かれるものと描かれないもの。両者の狭間に未知の領域があり、大きな手、小さな手、力強い手、優しい手、細やかな手、ごつごつとした手、たくさんの手がせめぎ合い、自然、空間、骨格、素材が渾然一体となって、無限の多様性が拡がる。
その時代、そこにある素材、そこにある技術を継ぎ接ぎながら肉薄してつくられてきた古建築は、不揃いであることや粗さを許容し、剥き出しの姿の中に建築の生き様を今に見せる。均質にする技術、綺麗に磨く技術を追い求めるあまり見失われていく構造美や素材美を、現代の手仕事によって見出し、素の生き様を見せるとき、二次元の紙の上には完結することのない、場の力が再現される。

竹原 義二


石田尚志トーク(国立新美術館)

4月10日、国立新美術館で開催していた「アーティスト・ファイル2010
―現代の作家たち」の石田尚志トークを聞く。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2010/af2010/index.html
石田尚志の公式サイトはこちら。
http://www.geocities.jp/office_ishidatakashi/japanese_top.html
トークの内容は以下のインタヴューとほぼ同じだったが、
中学以来の絵画への思いがタブローからアニメへ、具象から抽象へと
変遷してきた様がたいへんおもしろかった。
http://eigageijutsu.com/article/138450454.html

寺崎百合子個展「音楽」

小柳ギャラリーで開催中。http://www.gallerykoyanagi.com/

作家の公式HPはこちら。http://www.yuri-ogawa-terazaki.com/index.htm

以前の「階段」「図書館」の作品について紹介している画像。
http://www.directions.jp/airartlog/flv/AAL031/031-04.html
そして「階段」「図書館」についての作家自身のコメントはこちら。
http://www.directions.jp/airartlog/flv/AAL031/031-05.html


生誕120年 小野竹喬展

生誕120年 小野竹喬展
http://www.momat.go.jp/Honkan/ono_chikkyo/index.html

 時代を追って南画から「新大和絵」風へと画風は変わるが、すがすがしく明媚な風景を追求する姿勢は一貫している。
 何気ない身近な木々、その向こうに広がる空。茜空の画家と呼ばれることもあるようだが、まことに「空の作家」だと思う。その伸びやかな光景は暖かで穏やかな色彩とともに、見る者の心にしみいる。
 「奥の細道句抄絵」10点すべてが並んだ最後の展示室は絵本を眺めるようであった。ここにあるポエジーは決してわびさびではない。
 本制作119点、スケッチ52点の大回顧展の会場には静かな喜びが漂っていた。


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